2020.07.07

第65回 獣医麻酔集中治療 先制鎮痛再考してみた!

そもそも先制鎮痛の歴史は意外と長い。

 

 

「切皮時に痛がらせると、術後も痛がる。だから痛みが生じる前に痛みに対処する」

 

 

 

まぁ、当然のような気もする。

 

まず、先制鎮痛の前に、麻酔科医以外は、鎮痛に関して鈍感である。

 

 

私の知り合いの動物看護師さんは、犬好きで自分の犬が痛い思いしたり、辛いことには遭遇させたくないくらい溺愛している。

 

そんな彼女の犬が避妊手術を受けることになった。

 

 

 

動物看護師ということもあって、手術後、家に犬と帰宅したそうなのだが、痛がっている・・・動かない・・・ずっとうずくまって寝ている・・・

 

 

 

もちろん動物病院では鎮痛剤も処方され、オーナー様にも鎮痛をしっかりやっていますと伝えてあるし、聞くと鎮痛薬の選択も悪くはない。ただ、痛がっている。

 

この溺愛しているオーナー様の動物看護師は、何を思ったか?

 

 

 

→手術の後だから痛くて仕方ないよね。このくらいはどうしようもない

 

 

 

そう思っていたようだ。

 

 

ある日、大学病院に避妊手術をすることになった症例が来院した。大学ではとても少ないが、まれにある。

 

私が麻酔をすることになり、麻酔開始した。

 

手術もすぐ終わり、覚醒。

 

30分後には症例は起き上がり、自分の足でスタスタと歩いていた。

 

それを見た、動物看護師は愕然としていた。

 

なんで、痛がっていないのですか?なぜ歩けるのか?

 

 

 

私からすると逆に不思議だ。なぜ、そんなに痛がる?

 

 

 

認識は怖い。おそらく多くのオーナー様が経験しているはずだ。

 

VESはこの常識を変えていきたい。

 

 

次回は、先制鎮痛について解説していきます。