2020.09.16

第78回 感染以外の発熱?

ICUや術後では発熱と遭遇する機会が多く、常に感染以外の発熱を鑑別に考える必要がある。

 

 

  1. 術後発熱(通常48時間以内)
  2. 輸血
  3. 薬剤熱
  4. 静脈炎
  5. 膵炎
  6. 副腎機能不全
  7. 誤嚥性肺炎
  8. ARDS
  9. 血栓症
  10. 消化管出血
  11. 悪性高熱(きわめて稀、2例しか今のところ経験なし)

 

 

 

 

などが考えられている。

 

 

 

もちろん同時に感染源があるかどうかの精査も必要であるが、明らかな感染源がない場合には上記の鑑別診断リストから考えていく。

 

 

 

感染源が見つからなくても特に気を付けるべき臓器としては、

 

 

〇呼吸器

〇腎臓(泌尿器)

 

 

である。

 

したがって、レントゲン検査および尿検査などは極めて重要となる。

 

 

 

よく術後翌日以降に発熱する症例もいたりして、感染??なんて考えていたこともありました。

もちろん消化管手術とか、もともと感染を呈していた手術なら話は別ですが、

基本的には

 

 

「術後4日未満の発熱の90%以上は感染とは無関係」

 

 

とする報告も存在します。(Prim Care Update Ob Gyns 1998;5:146.)

 

 

 

ICUで注意が必要なのは、

 

〇人工呼吸関連肺炎

〇尿路感染(カテーテル感染)

〇カテーテル関連血流感染

 

 

である。

いずれもカテーテルなどのチューブが感染源となっている。

ドレーンなどがある場合も必ずカテーテル関連の取り扱いなどには十分な注意が必要である。