2021.05.14
第83回 抗菌薬について語り始める②
「白血球やCRP上昇がなくても感染症を疑うとき」
実際問題、白血球やCRPは疑う所見にはなるが、確定にはならない。
特に動物の場合(猫に多い気がする)、言葉を発しないので、こちらが意識しない限り感染症の存在に気づけないことが多々ある。
特に老齢で寝てばかりいる症例の場合、症状が非典型的で、感染症とわかったときにはかなり進行している、もしくは手遅れ・・・となる場合も少なからずあります。
例えば、いつもは元気にしている症例が、急に
意識変容や食事しない、元気ないとなればわかりやすいですが、
普段からあまり動かない症例となると、その身体機能不全にはなかなか気づけません。
人の場合は、ステロイド長期内服していると、骨格筋の萎縮が起きていているため、感染症が悪化しても呼吸数が増えないということもあるようです。
あとは、安定していた基礎疾患が急性増悪した場合などは、背後に感染症が隠れていることを頭には入れておくべきです。
糖尿病コントロール
MMVDでの急性増悪(感染性心内膜炎など)
慢性腎臓病の急性増悪(腎盂腎炎など)
などなどです。
尿検査や貯留物あるならその培養検査やグラム染色、意識状態にも影響してくるようなら血液培養も必要です。
最後に考えるのは、肝酵素の上昇(ALT)です。
今まで問題のなかったALT上昇やクレアチニン上昇も、発熱やCRP上昇がなくても血液培養を実施することがあります。
菌や毒素は肝臓で解毒されますからね。軽度の肝炎を呈することもあります。
クレアチニンはどちらかというと循環破綻時に上がりますが、クレアチニンは筋肉量が少ない症例では上がりにくいですし、上がるにしても1日2日遅れて上昇してきますのでご注意ください。
私はクレアチニンよりも・・・
ここから先は内緒です笑