2020.03.29
第35回『デキサメサゾンがARDSに…効く⁉️』まとめ
獣医集中治療に関する論文の紹介です!
2000年にARMA studyが発表されてから20年も経つようです🕰私が獣医になったのが2009年なので肺保護換気の歴史は結構長いのですね🤔
獣医領域では言葉の一人歩きで、よくわからないけど肺保護換気が良いんでしょ?みたいな感じで知っている方も多いと思います😅
すごく単純な言葉で示すと、
「低い一回換気量と高いPEEP」
が肺保護換気のポイントだと思います💡
低い一回換気量=6ml/kgとかになるのですが、
ARMA studyも6ml/kg vs 12ml/kgなので至適な一回換気量は不明です。
ただ、犬で6ml/kgはかなり難しいです😵というか不可能?だと思います😔
思った以上に死腔が大きいのでしょうね。
それと、獣医領域の人工呼吸ではよく…というか、ほぼ筋弛緩めちゃ使っちゃってますね💉
自発呼吸残してアシストするのと、筋弛緩使って呼吸止めちゃってコントロールするのでも考えることは全然変わりますからね❗️
例えば、
「重症肺の人工呼吸は、自発呼吸を残さないほうがいい…?」
Yoshida T, et al. Am J Respir Crit Care Med.2013:188(12):1420-1427.
一般的に、
自発呼吸による陰圧は、人工呼吸による陽圧よりも肺全体に均一にかかる
↓
陽圧換気より無気肺になりにくい
↓
自発良さそう
↓だけど実際は、
障害肺では腹側と背側の肺拡張分布異常
吸気初期に腹側肺領域から背側へ肺胞内の空気が移動して(pendelluft)、障害の強い背側肺では虚脱と伸展を繰り返してしまう(shear stress)
このような報告もあるわけです🚨
じゃあ筋弛緩薬使ったほうが良いかと言われると、そんなこともなく一般的に筋弛緩薬が使用できる時間は48時間となっています⏰
筋弛緩薬の合併症としては、角膜障害、深部静脈血栓、人工呼吸関連肺炎、横隔膜機能不全が気になるところですね👨⚕️
自発呼吸残すときに困るのが、動物の一回換気量が大きいときです。
例えばアシドーシスで過大な呼吸性代償が入るときなんて、まず間違いなく6ml/kgなんて無理ですね。15ml/kgは悠に超えます。そもそも動物は15ml/kgくらい全然いいんじゃないかなぁと思ってたりします🤔
この辺は皆さんの意見が聞きたいところです‼️
「まぁつまり、あまりに強い自発呼吸で努力呼吸すごいなら無理に自発残さないでもいいでしょ」
と執筆した先生が仰ってました✍️
人工呼吸だけでなく、自発呼吸も肺障害を引き起こすというのは大切な考えですね☝️✨