2020.04.19
第34回『糖尿病性ケトアシドーシス治療💉は生理食塩水じゃなきゃダメなのか⁉️』
獣医麻酔集中治療に関する論文の紹介です!
0.9% saline versus Plasma-Lyte as initial fluid in children with diabetic ketoacidosis (SPinK trial): a double-blind randomized controlled trial
Crit Care. 2020; 24: 1.
結果
○急性腎不全になる?悪化する?
Plasma-Lyte 13 (38.2%) versus 0.9% saline 15 (46.9%); adjusted OR 1.22; 95% CI 0.43–3.43, p = 0.70
→どちらも変わらない
○DKAはどのくらいで治る?
Plasmalyte: 14.5時間
生理食塩水: 16時間
→どちらも変わらない
○AKIはどっちが早く治る?
Plasmalyte: 22.1時間
生理食塩水: 18.8時間
(adjusted HR 1.72; 95% CI 0.83–3.57; p = 0.14)
→どちらも変わらない
「DKAだから生理食塩水でなくてはならない。
ということはない‼️」
ということを示唆する論文でした📄
そもそもDKAで輸液治療する目的ですが、大切なのは血糖値を下げること…だけではなく、ケトン体を減らす、もしくはケトン体を作らないような状態にすることですね💡そのために輸液とインスリンが必要になります☝️
①高血糖→浸透圧利尿→循環血液量減少→糸球体濾過量低下→グルコース排泄低下
②高血糖→浸透圧利尿→循環血液量減少→カテコラミン増加
このような背景から、より高血糖を悪化させます👿したがって、この循環血液量回復のためには輸液ですよね❗️症例によってはインスリンを使わなくても血糖値がそれなりに下がってくれることもあります🙆♂️ただ、結局はグルコースの利用障害から脂肪酸分解が進みケトン体が作られているわけで、結局はインスリンを使って糖エネルギーを細胞内に送らなきゃいけませんね🚑
もし、血糖値をゴールにしてしまったら、血糖値が下がったら治療やめちゃいますよね❓ただ、ケトン体がなくなるよりもだいぶ前に血糖値は下がっちゃうのです🤔そうなると結局、脂肪酸からケトン体産生の流れを止められずに…
となるので、ある程度糖が下がってきたら、逆に輸液剤に糖負荷してインスリン継続していくわけですね💉
DKA治療の目的は…?
→ケトン体を減らす、もしくは無くす
血糖値が全てではないというのは肝に命じておく必要があります⚠️