2020.05.13
第25回『HES製剤(ボルベン)は生理食塩水と比較して、死亡率や合併症、腎障害を増やすか❓🤔』まとめ
獣医麻酔集中治療に関する論文のご紹介です!
Effect of Hydroxyethyl Starch vs Saline for Volume Replacement Therapy on Death or Postoperative Complications Among High-Risk Patients Undergoing Major Abdominal Surgery
The FLASH Randomized Clinical Trial
JAMA. 2020;323(3):225-236.
「麻酔中に重症患者に対してHESを使うことは、死亡率あげる?合併症増える?腎臓大丈夫?」
を生理食塩水と比較検討し評価しています🧐
死亡率:有意差なし
合併症:有意差なし
腎障害:有意差なし
という結果でしたね❗️
コロイド製剤が凝固と腎臓に影響を及ぼすことは有名なお話ですね☝️
現在日本で使用できるものには、
⚫︎ボルベン
⚫︎サリンヘス
⚫︎ヘスパンダー
などがあります。
それぞれ分子量や基剤の違いがあり、
ボルベンが中分子、
サリンヘスとヘスパンダーは低分子となります👨⚕️
基剤はボルベンとサリンヘスは生理食塩水、
ヘスパンダーはバランスソルトでいわば乳酸リンゲルとか酢酸リンゲルの様なものです☝️
厳密な使い方はないと思いますが、クロール負荷を考えて、あまりクロール上昇させたくないなと思えばヘスパンダーをチョイスしようかなぁ…と思う程度で実際は使いません😅
つまり、クロール負荷には注意が必要ですが、日本で販売されているコロイドで差は無いというのが現状です❗️
「麻酔中いつ使いますか??」
という質問はいつも悩みますが、基本的な輸液負荷に関しては主に乳酸リンゲル液や酢酸リンゲル液を使用しています。
例えば、「不意の出血で血液がそばにない」とか「手術前からダラダラと3号液が入っていたなー。間質もそれなりに入ってるなー。
どこまで血管内にいてくれるかわからないけど、少ない量のコロイド入れて様子見てみるか…🤔」のようなことを考えたりします…が、正しいのか…😅