2022.01.27
良い指導医は、多くの挫折を知っている
なんでもそつなく熟してしまう人よりも、多くの失敗を糧にして、挫折を乗り越えてるという条件が指導者には不可欠だと思います。
そして、
新しい挑戦がどんどんできるのも、良い指導者の条件だと感じます。
例えば、
学会などで最近流行りのプロコン(賛成か反対か?みたいなセッション)に登壇する講師は、かなりの実力者である必要がある。
簡単な例えで言えば、
「麻酔中の低血圧治療は、輸液がファーストチョイス?」
というお題に対して、賛成反対をする場合、
仮に私が登壇者なら、どちらでも戦えます。
なぜなら、輸液で治療することをファーストチョイスとする場合、輸液で治療しないことをファーストチョイスとする場合、どちらも同じだけの経験値を積んでいるからです。
たぶん、賛成側に回っても、反対側に回っても、勝つのは私でしょう笑
いやいや、本当はどっちが勝つとか、そんな次元の低いレベルの議論をするつもりはありません。
自分のやり方がベストで、そのやり方を肯定ばかりするような勉強法では、臨機応変な対応を求められる良い指導者にはなれないということを言いたいのです。
どちらの立場でも、その立場にどっぷりと浸かれば、良いことも悪いことも、どちらも見えてくるものです。つまり、どちらかが正しいなんてことは決してないのです。
私の場合は、大学で指導する場合、色々なタイプの麻酔科医を教育しました。みんな勉強してるので、それぞれ色々な挑戦をします。
その中で、困ったことや経験のないことを体験すると、ヘルプをしてくるので、現場に駆けつけます。
私から見れば、なんでこんなことになるのー?と思う状況はたくさんありましたし、私ならこのやり方しないってこともたくさんありました。しかし、それをカバーして、解決するのが指導者の仕事であって、こうやるべき!と、自分のやり方を強要するのは、良い指導者とは言えないのです。
指導者のやり方を学びながらも、優秀な方は自立して、どんどん新しいことを学びます。
それは、指導者である私自身の成長にも繋がります。教えるだけが指導者の仕事ではありません。時には一緒に悩み、困ったことをリカバリーする、どんな状況でも絶対に動物を死なせないというさまざまな経験値を指導者は求められます。