2020.04.25
第13回 VCV従量式について学ぶ②(獣医集中治療)
さて、まずは肺モデルについて見ていきましょう!
ストローを介して風船を膨らませるためには、気体がストローを通って風船にまで流れる必要があります(流速)。
その結果、風船が膨らむことで、その風船に圧がかかります。さらにストロー内を気体がヒューっと流れるときにも圧がかかりますよね?そうです、これが最大気道内圧Ppeakであって、
Ppeakとは、
ストローを通る時の圧+風船が膨らんだときにかかる圧
の合計であると言えます。
したがって、
Ppeakを左右するものはストローの抵抗(つまり気管の細さ)と風船の膨らみやすさ(肺のコンプライアンス)となります。
まずは、ストローを通る時の圧について考えましょう。
この圧は
吸気流量×気道抵抗
ですね。
次に、風船の膨らみやすさについてです。
これは、ちょっと想像しましょう。新しい新品の風船を買って膨らましてみてください。結構、力が必要ですね。
では、次ですが、何回か膨らました風船を膨らましてください。
どうでしたか?
簡単でしたね!これがコンプライアンスで、肺炎とか肺水腫では肺がいかにも硬そうじゃないですか?要は、新品の風船と同じですね。
ところで、なぜこの話になったか覚えていますか?笑
PpeakとPplatが違うって話でしたよね?
ポーズ時間を設けること=流速をゼロにする=Pplatつまり肺胞の圧ということなのですが、ここでまた思い出していただきたいのが
ストローを通す圧=気管の圧=吸気流速×気道抵抗
でしたね?ポーズ時間中は吸気流速はゼロでしたね!そうなると、ストローを通す圧=0×気道抵抗なので、気道抵抗がどんな状態でもストローを通す圧=ゼロですね。
だから、
このポーズ中は、気管の中の圧を考える必要がないというわけですね!
つまり、この時の圧は、風船の圧そのもの、すなわち肺の圧というわけですね。
だから
Pplat=肺胞の圧
ということです。
ということは、
Ppeak-Pplat=気道抵抗(気管にかかる圧)
ということです。
では、次回もVCVについて話しますね。あと、3回くらいはかかりますね。
では、また!
図はER・ICU診療を深める① 救急・集中治療医の頭の中Ver.2 小尾口邦彦著 より引用改変いたしました