2020.04.26
第15回 VCV従量式について学ぶ④(獣医集中治療)
今回でVCVについてはいったん終了です。
ここまで話したのですが、きっと麻酔中だけの人工呼吸設定を聞きたい方もいらっしゃると思います。
それに関しては、また後日アップいたしますね。
しかし、麻酔中の人工呼吸設定は極めてシンプルなので、すぐに理解できると思います。
ちなみに、今回、グラフィックについて書いていますが、当院にはグラフィックない・・・という先生もあまり深いことは考えず聞いていただきたいのです。なぜなら
グラフィックはあると確かに便利ですが、それ以上に、人工呼吸についての理解が深まるので、とても良いと思います。
さて、今回は、人工呼吸中の呼気について書いていこうと思います。
ほとんどのセミナーは吸気がメインなので、一度呼気について学んでおきましょう。
流速波形を思い出してください。
流速波形では、上に向かうものと下に向かうものがありますね。上に向かっているときは、動物にガスを送気しているときです。つまり吸気です。下に向かっているときは、人工呼吸器側にガスが向かっているときなので、つまり呼気です。
したがって、流速波形の逆三角形のような波形は、呼気を意味し、吐きやすさを表現しています。
たとえば分泌物が多い胸郭の大きい犬での経験が多いのですが、吐きにくさとは、次のようなグラフィックを示します。正常の呼気グラフィックと比較してみてください。
このイメージ図はちょっと大げさですが、このように呼気のはじまりも少なですし、だらだらだらだらと息を吐くイメージです。
このような動物に呼吸数を増やしてしまうと容易に想像できますが、吐ききれなくなってしまいますよね??
そうなると吐ききる前に次の人工呼吸の吸気が来てしまうのです。つまり勝手に肺が膨れていく状態ですね。
これをauto PEEPといっています。
そのときのグラフィックが次の図です。
このような波形を見つけたらauto PEEPが発生していますので、対応のひとつとしては呼吸数を低下させることですね。あとはカウンターPEEPという考えもあるのですが、それは、今人工呼吸器の書籍を執筆していますので、しばらくお待ちください。
最後に、少し換気量波形について解説し、VCVはひとまず終了です。
一番上の図が換気量で、この見方は非常にシンプルです。これは、
「リークがあるかどうかのチェック」
をチェックできる波形です。
つまり、
気管チューブのカフが緩い
気管チューブが抜けかかっている
とかですね。
これ以外にたまに生じるのが、加温加湿器です。結構割れたりもあるそうです。
グラフィックがなければ、送気している一回換気量と呼気の一回換気量(つまり設定と実際が異なる場合)に違いがあればリークしている可能性が高いです。
そんな時に、どんな波形となっているかが、以下の図です。
このように基線がゼロまで戻っていなければ、リークを疑ってください。
もしかしたら、良い人工呼吸器をご使用されている病院様では、リーク補正機能がついている場合があって、このリークに気づけないこともあるので、たまにカフのチェックうやチューブの位置チェックも必要ですね。
お疲れさまでした!
それじゃ、また!