2020.04.28
第21回 急激に血圧を上昇させた場合どうなる?①(獣医麻酔集中治療)
PV loopについて解説します!
が、まずは、こちらをご覧ください。
心拍出量=心拍数×一回拍出量
これはよく見ますね。さらに分解しますよー!
心拍出量=心拍数×(前負荷×心収縮力)/後負荷
となります。
一回拍出量=(前負荷×心収縮力)/後負荷
というわけですね。
前負荷増加させるもの:
輸液、輸血、心拍数下げる、深呼吸する、人工呼吸やめる、血管収縮薬(条件による)など
心収縮力上げるもの:
輸液、輸血、ドブタミン、ドパミン、ピモベンダン、PDE3 阻害薬、ノルアドレナリンなど
後負荷増加させるもの:
ノルアドレナリン、バソプレシン、アンジオテンシン、フェニレフリンなど
単純に考えたらこんな感じで、色々な薬剤の影響を考えていくわけですね。
この式からわかることは、後負荷を増加させると一回拍出量が下げるということですね。
では、これをPV loop から考えてみましょう!
ICU輸液力の法則 PVループP254を参考に引用改変いたしました
PVループは縦軸が圧、横軸が容積を示したものです。
複雑に感じるかもしれませんが、まずは頭で心臓内腔をイメージしてください。できましたか?
そこから、弁のある位置、大動脈や肺動脈と心臓を縦切したものを想像してくださいね。さ、いきますよ!
左室充満(A→B):
左室内が徐々に血液で満たされてきました。容積が増えていきます。それに伴い左室圧もすこしだけ上昇しましたね。つまり、Aの時点では僧帽弁が開き、左室内に徐々に血液が流入していく画像が想像できましたか?
等容性収縮(B→C):
十分に左室が満たされると、僧帽弁が閉鎖します。それから左室の収縮が始まりますね。ただ、この段階ではまだすべての弁が閉じています。ここはスローモーションの世界を想像してほしいのですが、大動脈弁が今か今かと解放されるまでの状態です。左室圧が上がり、もうすぐ大動脈弁が開くぞーといった感じの期間です。
左室駆出(C→D):
大動脈弁が解放されて、ついに左室に流入した血液が大動脈へ流れ出します。これがこのフレーズで、左室容積が急激に減少します。つまりC点が大動脈弁の解放ですね。
等容性弛緩(D→A):
D点は左室にあった血液が大動脈からほとんど放出された後の状態で、収縮期の終わりを示しています。つまり、これから拡張期へ移行するということですね。
したがって、点Bから左室拡張末期圧(LVEDP)、左室拡張末期容積(LVEDV)、点Dから左室収縮末期圧(LVESP)、左室収縮末期容積(LVESV)が求まります。つまり、
左室拡張末期容積-収縮末期圧=SV(一回拍出量)
となります。
このPV loopは前負荷、後負荷、収縮能、拡張能によって変化するので、次回はその話をします。
それじゃ、また!
参考文献:ICU輸液力の法則 中外医学社