2020.04.29

第24回 輸液の選択について①(獣医麻酔集中治療)

選択する輸液製剤を悩む場合は結構ありますよね。

 

 

まずは嫌でも覚えなくてはならないものに

 

 

浸透圧

 

張度

 

有効血漿浸透圧

 

 

 

 

については知らなくてはいけません。

 

 

 

 

 

 

浸透圧は細胞膜を隔てて、細胞内に浸透しようとする力のことをいいます。

 

 

 

でも実際はNaは細胞膜を通過できないので、このままだと細胞外のナトリウム量が多くて水が細胞内から細胞外に移動しちゃいますよね?さりげなく書いちゃいましたが、水は薄いほうから濃いほうに移動するのです。

 

 

 

 

皆さんは、小さいころにナメクジに塩をかけたことがありますか?そうなるとナメクジは水分なくなって縮まりますね。いわゆる私が言いたいことはこの原理と同じです。

 

 

 

でも、我々の体はそのような問題が生じませんね??

 

なぜだと思いますか?

 

実は、体は下の図のようになっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

皆さんはよく血液検査しているので、ご理解していると思いますが、細胞外の主役はNaであって、Kはほとんどないですよね。

 

 

でも実は、細胞内の主役はKであって、Naはほとんどないのです。まるで光の世界で生きるNaと影の世界でいきるKの戦いに見えます。

 

 

 

 

少なくとも私には。

 

 

 

 

そして、NaとKは同じ力を持っていて、その作用は拮抗します。

 

どちらも電解質なので、細胞膜を通過できずに、同じ量が細胞内外にそれぞれいるので、バランスが均衡となるため、水の移動は起きません。

 

 

 

ポイントは、

 

 

 

細胞内外の浸透圧差

 

 

 

が、水分の移動に関わる重要なファクターとなっています。これが有効血漿浸透圧に相当します。

 

つまり、

 

 

有効血漿浸透圧=張度ですかね。

 

 

細胞内外に濃度差を生じる結果、水が移動する、水を引き込む力を有効血漿浸透圧と表現しています。

 

 

 

 

では、たとえを出していきますね。

 

 

 

 

 

リンゲル液を100ml投与しましょう。

 

まずリンゲル液はNa:147mEq/LでK:4mEq/Lで構成されています。

 

いわゆるナトリウムがメインの輸液製剤です。そして、細胞膜を通過しないので、細胞外だけに分布しますね。そうなると例えば、細胞内K濃度が145mEq/Lであればリンゲル液のNaとの差はほとんどないですね。

 

 

ですので、

 

 

 

リンゲル液を投与した場合は、細胞内へ水分は移動せず、細胞外だけに分布するということですね。

 

 

輸液動画と合わせて見ていただくと理解が深まると思います。ぜひ復習してみてください。

 

 

 

次回は、5%糖加酢酸リンゲル液や乳酸リンゲル液を投与した場合と、1~3号液を投与した場合にどう水分が移動するかを解説しますね。