2020.04.30
第27回 Stage CのMMVD麻酔②(獣医麻酔)
前回は鎮痛薬や鎮静薬について話したので、今回はよく質問される血圧対応についてです。
教科書を見ると、大体こう書いてあります!
鎮痛薬や局所麻酔を併用して吸入麻酔薬の濃度を下げましょう。
つまり
MAC(最少肺胞濃度)を減少させましょうということです。
大丈夫です、雰囲気的に否定しそうですが、否定しません。これは間違いなく正しいと思います。
結局、麻酔薬などの影響によって血圧低下などが生じているわけですよね。
そうなると最終的には、麻酔薬をうまく調整し、バランスを保つしか方法はない。これは事実です。
問題はどうやって麻酔薬を調整するかですね。
これはご契約病院様の獣医師や動物看護師は口酸っぱく言われているので、あえてここでは言いません。
高度な機械はいらない!あれですね!!
では、一応教科書に載っている、あるいは論文上で報告されていることをまとめておきますね。
犬の鎮痛薬とMAC減少効果
猫における鎮痛薬とMAC減少効果
たくさんありましたね。ただ私はほとんど覚えていません。
では、私が覚えていることだけをお伝えしましょう!
フェンタニルは20㎍/kg/時間、レミフェンタニルは40㎍/kg/時間で投与するとMACは大体半分になるんだなぁ、
くらいです。
でも半分は動く濃度なんだなぁ、
くらいです。
これに、例えば、ケタミンやリドカインを加えたらもっとMAC下げれるんでしょうけど、ケタミンやリドカインは私の使用量は
ケタミン0.5mg/kg iv 後、0.6-1.0mg/kg/時間なので、たいしてMACを下げませんし、
リドカインは3mg/kg/時間程度なので、20%減少くらいです。
ですので、細かいことはなんも覚えておらず、大体フェンタニルやレミフェンタニルの投与速度に合わせた吸入麻酔の濃度を頭でイメージしているだけです。
たまに頑張って覚えてくれてる人もいるのですが、これ覚えるくらいなら他のこと覚えたほうがいいですよ。
今日から私と同じ程度のことだけ覚えてください。だって、全部の症例がこんな数字だけで麻酔できたら我々専門家いらないですからね。もっと大切なことがあります。それは一緒に勉強したい人にしか教えたくありません。
猫はあまりオピオイド聞いてませんね。レミフェンタニルなんて完全な頭打ちですよね。
ケタミンが良さそうですが、腎排泄なので腎臓悪い症例や、血圧低くて腎血流低い猫では作用が延長しちゃいます。
注意してください。
あとは積極的に使えるなら局所麻酔薬を用いた神経ブロックが有効になりますね。
まとめですが、色々な薬剤使って、麻酔薬による循環抑制を最小限にする鎮静鎮痛管理が心臓悪い動物麻酔には必須です。
ただ、麻酔薬を下げることばかり考えずに、しっかりと鎮静、鎮痛、筋弛緩状態を確認しましょうね。
時間は、それでも血圧が低いときに使用できる循環作動薬について解説していきます!
それじゃ、また!!