2020.05.17

第53回 獣医麻酔:糖尿病麻酔について③

糖尿病での電解質異常をどうするか?

 

 

結論:血液検査で異常がなくても、糖尿病の背景を考えよう!

 

血液検査のデータだけでは、血中のナトリウム濃度などはわかっても、体内総ナトリウム量はわからないですね。

 

つまり、血液検査所見だけではナトリウムなどの電解質の本質までは見えないということです。

 

 

 

まずはシンプルなカリウムについて考えてみます。

 

 

グルコースがインスリンによって細胞内に取り込まれると同時に、カリウムも細胞内に流入します。

 

 

してがって、糖尿病の時はカリウムは細胞外にとどまりやすいはずである。そして浸透圧利尿によってカリウムの絶対値は減少している。

この利尿のバランスによって、正常値であったり、高値になっていたり様々な血液検査データを示す。

 

 

 

基本的に、

 

 

カリウムの絶対値は低下している

 

 

ということを肝に銘じておくのが大切である。

 

 

集中治療においては、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)の治療の際に、これを意識しておかないと結構大変なことになります。

 

高血糖の状態ならびにケトン体が高い場合、インスリンによって治療を始めるとグルコースが急激に低下し始める。

 

そうなるとカリウムが急速にカリウムが細胞内に流入する。

 

もともと体内カリウム総量は低下しているので、見た目上のカリウムが正常だった症例も一気に低下してしまう。

 

だから、皆さんもDKA治療の時には悩みながらカリウム補充してますよね。

 

 

 

そして、リン酸の低下も気になりますよね。実はこのリン酸はカリウムと同じ動きをするんですよ。

 

だから最終的にはリン酸の補充も必要になります。