2020.05.19

第55回 獣医麻酔:副腎皮質機能亢進症①

【副腎皮質機能亢進症で知っておくべき麻酔の基礎知識】

いつも悩む問題:

クッシングのコントロールってどこまでするのが正しいの?

生きるのに必要なホルモンを抑制しても、手術などのストレスって耐えれるの???

これを解明するために生理学からいきましょう!!

 

<副腎の生理>

 

副腎はアドレナリンなどのカテコラミンやアルドステロンなど生体内のストレス反応、体液バランスを整えるための重要な働きを担っている。

したがって、副腎の機能について知ることは麻酔管理するうえで必須である。

 

副腎は内側から髄質、網状帯、束状帯、球状帯に分かれていて、髄質からアドレナリンやノルアドレナリンが分泌される。いわゆるピンチのときに出てくるホルモンで、血圧や心拍に影響する。特に髄質腫瘍である褐色細胞腫では、何かしらの刺激により心血管系に影響し、頻脈や血圧が上昇する。

 

皮質は3層に分かれていて、外側から球状帯で鉱質コルチコイドを分泌します。これがアルドステロンです。

束状帯は糖質コルチコイドを分泌する。これがコルチゾールです。

内分泌疾患ではあまりなじみがないのですが、再内層に位置する皮質は網状帯といい、アンドロゲンが産生されます。

 

「生命に直接かかわるホルモンは鉱質コルチコイドと糖質コルチコイドであり、これが何かしらの影響で障害されると危機的な状態となる。」

 

 

副腎ホルモン調整は、視床下部-下垂体-副腎皮質のフィードバック機構によって調整されています。コルチゾールはACTH、そのACTHは副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)の刺激で産生されています。同じく副腎皮質から産生されるアルドステロンですが、これはコルチゾールと別の支配系でコントロールされており、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系で行われています。さらに副腎髄質は交感神経によって行われます。

 

 

 

<糖質コルチコイドの作用>

糖質コルチコイドはコルチゾールのことであるが、生きるために必要なホルモンである。抗炎症作用や免疫抑制作用があります。さらに糖新生を促進したりすることで血糖値を上昇させます。逆に副腎皮質機能低下症では低血糖になります。

 

心血管系への作用としては、動脈系のα1受容体を増加させてカテコラミンの反応性を増加させたりする作用が近年では注目されていますね。副腎クリーゼなどでは血液分布異常性ショックなどによって血圧が低下するのはこのためです。