2020.04.21
第6回 麻酔集中治療における凝固系を学んでみた!(獣医麻酔集中治療)
止血
一次止血:損傷部位で血小板凝集による血栓形成
二次止血:トロンビンがフィブリノゲンをフィブリンにし、フィブリン網と血小板凝集
凝固因子はⅠ~13因子まで(第6因子は欠番)
凝固因子半減期産生部位フィブリノゲン3-6日肝臓プロトロンビン2-5日肝臓組織因子 血管内皮下組織カルシウムイオン 補助因子第5因子15-36時間肝臓第7因子2-7時間肝臓第8因子8-12時間肝臓 血友病A患者は欠損第9因子18-24時間肝臓 血友病B患者は欠損第10因子1.5-2日肝臓第11因子3-4日肝臓第12因子 肝臓第13因子6-10日血小板、肝臓
厚生労働省医薬・生活衛生局:血液製剤の使用指針より引用
第2, 7, 9 10因子はビタミンK依存性凝固因子。つまりビタミンKが合成に関与している。
ビタミンK欠乏や吸収障害(たとえば胆嚢疾患)、ワルファリンなどのビタミンK類似薬剤によって凝固に異常を生じる。
二次止血
APTT: 第12因子が活性化からプロトロンビンからトロンビンができるまでの過程
PT: 外傷などからの組織因子が第7因子を活性化し、プロトロンビンからトロンビンができるまでの過程
周術期で使用するアスピリンや未分画ヘパリン、低分子ヘパリン
アスピリンは
抗血小板薬。低用量でTXA2産生阻害で血小板の凝集を抑制する。
アスピリンジレンマ:
低用量ではTXA2合成抑制で、血管内皮のPGI2は代償されるが、高用量にするとPGI2も抑制されてしまう。
PGI2は血小板凝集抑制作用なので、効果が相殺してしまう
使用の注意
理想的には手術1週間前の休薬が必要。区域麻酔施工患者様にはガイドライン上は、アスピリンやNSAIDs単剤投与では禁忌ではないとされている。
抗凝固薬
獣医療では術後の肺血栓塞栓症予防で使用されることがある。
常に出血と血栓のバランスを考える必要あり。
未分画ヘパリンの休薬期間:4時間(静注)、10時間(皮下)
ダルテパリンの休薬期間:12時間
(抗血栓療法中の区域麻酔・神経ブロックガイドライン参照)
手術前にどのタイミングで抗血小板薬や抗凝固薬を休薬すべきなのかいつも悩んだりしますね。ここはデータを取らなくてはならないですね。