2020.04.21

第7回 副腎クリーゼをもう一度学んでみた!(獣医麻酔)

もはや呟きではなくなってきており、一日で3回以上ホームページを更新していますね。

 

このコロナ騒ぎでステイホームなので、ずっと事務仕事と英語を少々の日々を送っております。

 

だれか、私を獣医麻酔集中治療医として使っていください(泣)

 

さて、よく遭遇するので、今一度復習してみました。

 

基本的な流れは、

 

 

『副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)→副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)→コルチゾール』

 

 

ですね。

 

一次性副腎不全(副腎そのものの不全)であれば、

 

 

『副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)↗→副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)↗→コルチゾール↓』

 

 

ですね。つまりコルチゾールは視床下部-下垂体-副腎系で調整されてますね。

 

ここで注意が必要なのが、アルドステロンで、これはレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系で調整なので中枢に異常を生じる二次性副腎不全であればアルドステロンには影響しない。

 

鉱質コルチコイドと糖質コルチコイドは両方生命には必須ですので、どちらが障害されても危機的な状態になります。

が、糖質コルチコイド(コルチゾール)は本当に重要です。

 

特に、

 

低血糖は有名ですね。忘れてはいけない作用は、コルチゾールがカテコラミン反応性維持に必要なホルモンということです。

 

私がよく経験していた副腎不全はいわゆる一次性副腎不全で、

 

 

副腎腫瘍摘出後(両側含む)

クッシング症候群管理をしていた症例が侵襲の大きい手術した後

 

 

です。

意外と、ステロイド長期投与されていた症例で起きる二次性副腎不全は、そんなに経験がありません。

 

症状

 

食欲不振、元気食欲なし、嘔吐、下痢が一般的。発熱するときもある。

 

低血圧

 

低Na血症、低血糖、アルドステロンが欠乏していれば高カリウム血症。

 

 

治療の基本 (伴侶動物のための救急医療 緑書房 参照)

ヒドロコルチゾン:1.25mg/kg IV、単回投与。以降は0.5-1.0mg/kg SID~TID

 

コハク酸プレドニゾロンナトリウム:4mg/kg IV、単回投与。以降はプレドニゾロン0.2~0.3mg/kg BID

 

リン酸デキサメタゾンナトリウム:0.5mg/kg IV。以降は0.05~0.1mg/kg BID

 

 

ACTH刺激試験はしたいが、生命維持が最優先なので、どうしようもなければすぐステロイド治療開始。

 

ACTH刺激試験に影響しないのはデキサメタゾン。そのため、検査したいが急ぐ場合は、まず、

 

デキサメタゾン

ACTH刺激試験(pre採血→コートロシン投与)

ヒドロコルチゾン投与(検査結果を待たない)

副腎不全でなければステロイド療法中止する

 

※コートロシン投与に関して(伴侶動物のための救急医療 緑書房 参照)

犬:0.25mg IM もしくは5㎍/kg IV

猫:0.125mg/head IM, IV