2020.04.22
第8回 糖尿病麻酔を復習してみた!(獣医麻酔)
イヌとネコの疾患別麻酔管理をつかって復習したことを記載します。
疾患の特徴
イヌの糖尿病:Ⅰ型糖尿病(インスリンの絶対的な不足)が一般的で膵島β細胞破壊が原因
ネコの糖尿病:Ⅱ型糖尿病(インスリン感受性低下)が多い
麻酔をかける上で気になる臨床病理所見
高血糖
低ナトリウム血症:高血糖による利尿で尿中排泄も多いため、体内の総ナトリウム量も減少している。さらに自由水増加による見た目上の低ナトリウム血症もある。これは血糖が100mg/dl増加するとナトリウムは1.6mEq/L下がるので、注意が必要。
低カリウム血症
持続高血圧(犬42%>猫)、糸球体障害、尿路感染(尿糖による)などによって蛋白尿が発現する。
麻酔管理
糖尿病症例では麻酔や外科手術による合併症発生率や死亡率の増加、入院期間延長が注意とされている(侮れない)
血管内皮細胞の障害が生じる。さらに脂質代謝亢進による粥状性動脈硬化、血管拡張障害、電解質異常、血糖上昇に伴う副産物?やソルビトールなどによる血管内皮肥厚が関わっているようだ。高血圧によって心筋が二次的な肥厚つまりリモデリングしていることある。
これらの内分泌性高血圧が脳出血や心停止の原因になることがあるようだ
脳血管拡張障害→高血糖や血管障害で高炭酸ガス血症に伴う脳血管拡張障害?(そもそもなんで急に高炭酸ガスの話になったかはよくわからない)。さらに粥状動脈硬化によって脳灌流低下し虚血の可能性もある。
慢性高血圧+脳血管拡張障害=それなりに高い平均血圧が必要となる
糖尿病性腎症の観点からも血圧は重要とされている
自律神経機能異常もある(交感神経亢進による?)。獣医療では一般的ではないようだが、糖尿病罹患犬で心臓自律神経機能の障害も報告されているようだ。
2020年4月22日のペピィ様のオンライン獣医師セミナーでは、さらに踏み込んだ糖尿病麻酔管理の話をします!
VESご契約病院様には後日、学会やセミナーでは話せない解説動画を配信いたします。お楽しみに!!