2020.05.21

第58回 獣医麻酔集中治療:腎臓を丸裸にしていみる②

結構難しいので、少しずつ丸裸にしていきますね。

今回は近位尿細管についてです。ここめちゃくちゃ大切です。

 

 

 

近位尿細管ではほぼ一定量の糸球体濾液を再吸収する。

また、生体にとって重要なHOC3-、グルコース、アミノ酸などは濾過された90~100%が再吸収されている。

 

 

 

腎灌流圧の低下による腎血流量の低下、細胞外液量減少は、近位尿細管での濾液再吸収量を増加させる(GTバランスの亢進)。

 

このためにマクラデンサでの流量センサー(遠位尿細管、ネフロン下流)がGFR低下と勘違いしていまい、GFRを維持しようとして輸入細動脈を拡張、輸出細動脈が収縮する、

 

 

いわゆるTGF機構が働き続ける結果、

 

 

近位尿細管での再吸収が亢進し続けてしまう。

 

 

結構麻酔中はこれ起きてますよね。

全身麻酔によって輸液のクリアランスは50%くらい低下しますし、これの原因にはこの近位尿細管での再吸収も大いに関わってそうだなと思っています。

 

 

糖尿病などの場合は、この近位尿細管におけるSGULT2での血糖の再吸収能力が追い付かずに尿糖が生じる。

 

これによる浸透圧利尿が細胞内脱水やナトリウム利尿を促す結果、体内ナトリウム総量は減少していることが多い。