2020.05.22

第60回 獣医麻酔集中治療:腎臓を丸裸にしていみる④

今回はヘンレループの太い上行脚のNKCC2細胞について語っていきます。


ここはループ利尿薬が作用する部位です。

NKCC2がナトリウムを吸収する重要な細胞となりますが、もうひとつの大きな仕事としてはCa2+とMg2+を吸収する仕事がある。

 

 

 

NKCC2はナトリウム1つ吸収すると同時にカリウム1つとクロール2つを吸収します。

 

いわゆる共輸送体と言われるもので、Na+-K+-2Cl- cotransporterと言われています。

 

尿細管側のNKCC2によってカリウムが細胞内に吸収され、さらに血管側のNa+-K+ ATPaseによって細胞内のカリウムは多量となります。

 

したがって、K+チャネル(ROMK)によって尿細管腔へ排泄されます。

 

Na1つとK1つで計2つの陽イオンが細胞内に入り、2つのClが同時に細胞内に流入するので、ここでは電位差は本来生じない。

 

しかし、KがROMKから排泄されることで、尿細管腔がプラスとなる陽性荷電となる。

 

こうなるとClaudin19と呼ばれるタンパクを通って、血管内にCa2+とMg2+が流入する。

 

Ca2+とMg2+の代謝を考える上ではここの働きを理解することが大切です。

 

たとえばフロセミドを投与したら低ナトリウム血症、低カリウム血症のほかに、低カルシウム血症となります。

 

これは、NKCC2でカリウムが吸収されないため、ROMKからのカリウム排泄がなくなり、陽性荷電を維持できなくなったために、カルシウムが血管内に流入できなくなった結果です。

 

つまり、カルシウムは尿中に多量に排泄されることになるため、低カルシウム血症となるわけです。

 

疲れましたか?笑

 

 

輸液治療している中で、たとえば急性腎不全なんかも、ただ輸液するだけじゃなくて、どこの尿細管が障害受けているかを考えながら治療できれば、電解質異常の予測ができますからね。

 

 

ぜひ楽しんで学んでみてください!

 

 

それじゃ、また!

 

とは、なりません。もうちょっとです!

 

 

血管側にはカルシウム感受性受容体(CaSR)があり、高カルシウム血症や高マグネシウム血症などでCaSRが活性化すると

 

ROMKが抑制されるようで、陽性荷電が維持できなくなるため、Ca2+とMg2+の吸収はなくなる。

 

体液量や電解質は腎臓様様なのがよくわかりますね!

 

 

 

それじゃ、また!