2020.05.22
第61回 獣医麻酔集中治療:腎臓を丸裸にしていみる⑤
遠位尿細管に突入します!
前回のヘンレループの太い上行脚(TAL)と遠位尿細管に挟まれた細胞集団があって、これをマクラデンサと言っています。
TGF機構は覚えていますか?
GFR低下を感知して、輸入細動脈を拡張、輸出細動脈を収縮することでGFRを維持する機構でしたね。
マクラデンサはこのTGF機構の起点となっているのです。
つまり、マクラデンサは細胞外液量やGFRを決定するための重要な細胞集団というわけです。
心腎連関を深め体液管理を極める 文光堂P25 腎臓の水電解質バランス機構よる引用改変
もしかしたら傍糸球体装置の方がなじみ深いでしょうか?
少し細かく言えば、マクラデンサが尿細管腔のNaを検知して、この情報をメサンギウム細胞から輸入細動脈の平滑筋細胞や顆粒細胞に伝達して、糸球体に流入する血液量や顆粒細胞からのレニンを調整しています。
遠位尿細管のポイントはNaとClが同時に吸収されるため、電位差が生じない。
また、TPRV5とTRPM6を通過してCa2+とMg2+が能動的に吸収されるのが特徴です。
特に、サイアザイド系の利尿剤を使用した際には注目され、サイアザイドはこのNCCを抑制してNa吸収阻害を引き起こします。
これによって細胞内Na量が減少すると、Na-Ca交換系によって細胞内にNaが流入する。したがって、血管内にCa2+が流入するため、サイアザイドはカルシウム吸収を増加させるとされている。
それじゃ、また!