2020.07.22

第67回 麻酔集中治療医の考える膵炎②

【そもそも微小循環とは?】

心臓から拍出される血液によって、酸素や二酸化炭素のガスほかに栄養・老廃物、ホルモンなどの生理活性物質が輸送される。

ヘモレオロジーと呼ばれる学問の観点から血管系は、管径5㎛から32mm、流速が0.5から630mm/s、レイノルズ数が0.0007の毛細血管から6000の大動脈まで幅広い範囲を有している。

管径が100㎛以下の血管系を流れる血液を微小循環と呼び、細胞の生命活動の維持・活動に必要な酸素と栄養を供給し、産生された代謝産物を搬出している。

 

臨床にダイレクトにつながる 循環生理〜たったこれだけで、驚くほどわかる! (日本語) 単行本より引用

 

たとえば、われわれが普段気にしている血圧はいわゆるマクロ循環であるが、このマクロ循環が組織低酸素や低循環になると乳酸などのパラメーターが上昇してくるが、微小循環はこの乳酸が上昇してくる前にすでに破綻し始めていると言われている。このことについては後述するが、膵炎などの炎症性疾患の治療はマクロ循環だけでなく、微小循環(ミクロ循環)を意識して管理治療することが大切になる。