2020.05.15

第20回「周術期の腎保護について探ってみた」まとめ

獣医麻酔集中治療に関する論文の紹介です!

今回は腎保護、とくにドパミンってどうなの?🤔についてでした。

結局伝えたいことは、ドパミンそのものに腎保護作用は無いという事です❗️

確かに腎血流増やすし、尿量も増やすけど、それだけでは腎保護にはならないということでしたね😊

 

基本的な作用は以下です。

 

 

1〜3μg/kg/min

:ドパミン受容体による腎血流増加

 

4〜10 μg/kg/min

 

:β受容体による心拍出量の増加

 

10 μg/kg/min以上

 

:α受容体による血管収縮作用

 

 

といった感じで作用が変わりますね。

 

例えば、急性腎不全の犬🐶6歳齢

急性の嘔吐と食欲廃絶

もともと慢性腎臓病があり、術後急性増悪

 

 

心拍数160 bpm

呼吸数42 回

平均血圧75 mmHg

 

 

こんな状況だとしたら、まずは…輸液ですよね。私もそうします。心拍数や血圧以外にも、可視粘膜やCRT、皮膚テント、眼球陥没程度など、総合して判断しますが、余裕があれば心エコーなんかもいいですね。明らかな細胞外液低下を認めたらリンゲル液なんかを投与していきます。この血圧なら10ml/kg/hrで1時間投与して、再度評価してから最終的な投与速度を決めていきます👨‍⚕️

 

その結果、

 

 

心拍数120 bpm

呼吸数24 回

平均血圧77 mmHg

 

 

 

となりましたが、尿量0.5ml/kg/hrと渋い感じです😥心エコーでは心内腔十分ですし、細胞外液はそこそこ満たされています。

ヘマトクリットは48%→39%と血漿も増加しています。尿検査を見ると、顆粒円柱などが出ている所見はなく、急性尿細管壊死(今は呼び方変わりましたね)ではなさそう🤔

次の一手をどうするか…

こういう時にドパミン使ったりします‼️

 

「えー?腎保護作用無いんじゃないのー?😵」

 

はい、そうです!ないです!

慢性腎臓病の症例はもともと血圧が高くなっていたりして、自動調節能が右方変位していて、血圧70〜80mmHgだとまれに尿がでない症例もいます💨ですので、「昇圧」目的でドパミンを使用したりします❗️なので5〜7μg/kg/minですね💉

 

その結果、

心拍数100 bpm

呼吸数20 回

平均血圧92 mmHg

尿量3ml/kg/hr

 

と改善できました👏🏻

もちろんこのような事をしながら、時間経過とともに細胞外液量は常に評価することは忘れないでくださいね!👍

 

これはあくまでも一例ですが、参考になれば幸いです😊

 

結局、ドパミンによる腎保護作用ってなに❓

 

ドパミンは腎血流増やしますし、尿量も増やします。

これは事実です。

ただ、腎不全や透析を回避したり、生存率を改善するといった効果はないというだけです🙅‍♂️

 

というわけで、ドパミンは、あくまでも血圧を上げて灌流圧を上げた結果、腎血流と尿量が増加する。これを目的として使用するというのが、使い方としては正しいと思われます💮

 

急性腎不全で尿量を増やすため。腎血流を増やすため。

 

 

腎保護のため。

 

 

という理由として低用量ドパミンを使うということに関しては、あまり効果はなさそうです🧐