2020.04.21
第30回『輸血しても血液量は増えない⁉️🤭』まとめ
獣医麻酔集中治療に関する論文の紹介です!
Preceding haemorrhagic shock as a detrimental risk factor for respiratory distress after excessive allogeneic blood transfusion.
Masuda R, et al. Vox Sang. 2018.
グリコカリックスの発見からスターリング式が改変されてから
①間質から血管内への水の移動はない(no absorption rule)がありますが、腸管の血管と腎尿細管周囲血管は水を引く力が強いですので、引き込みます。
②血管内ボリュームが少なければ(循環血液量が少なければ)、晶質液、膠質液、輸血などで効果は変わらない
などが、臨床的に気をつけるとこですね😊
つまり、
体液量が減少していない動物に対して晶質液を投与しても循環血液量は増加しない❗️これは明白です☝️
体液量が減少している動物に対しては晶質液投与でも循環血液量は増加する❗️これも明白です☝️
というわけでした😉
では、輸血は⁉️
なんと…輸血だとしても、循環血液量に相当する量を大量に入れても動物の循環血液量は増加しません🤭やはり血管には保持できる限界量が存在する‼️ということですね。
これをcontext sensitiveと言いましたね😊
すごく端的に言えば、脱水していなければやはり輸液は無駄で、血液量を増やさず体液量が増えるだけ🙅♂️‼️
ちなみに!輸血はヘマトクリットは増加させますが、循環血液量は増加させないとも言われています😅
なぜか❓それは輸血を入れることで代償的に血漿成分が間質に出ていくそうです🤭
Frethem B. Acta chir Scand108(2-3)125-134.1954.
ヘマトクリットは上がるが、循環血液量は増えないというのは興味深いですね🤗
と、思ったら…今回の論文では
「HES膠質液は増えてる」
という不思議な大変興味深い報告でした🙄
まだまだHESがんばれる!と感じました。
この他にも、少し古い報告ですが貧血患者にボルベンを投与すると、血液希釈をそこまで起こさずに酸素運搬量を増やしたりするとした研究もあり、HESは使い方次第なんだなぁと再認識しました‼️
正常循環血液量なら…
「HES>>輸血、晶質液」
という可能性もありですね🤔